首都圏外郭放水路 (埼玉県春日部市上金崎)


洪水を防ぐために建設された地底50mを流れる世界最大級の地下放水路。

地下神殿「調圧水槽」と巨大竪穴「第1立坑」の見学を60分に凝縮した「気軽に参加できる!地下神殿コース」に参加(所要時間:約60分、参加料金:1,000円のコース)。地下神殿「調圧水槽」は圧巻でした!!。施設説明は「首都圏外郭放水路HP」より抜粋、転載。-2020.02.05-

全体イメージ


中川、倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川といった中小河川が洪水となった時、洪水の一部をゆとりのある江戸川へと流すことができる。

全体構成図


各河川から洪水を取り入れる「流入施設」と「立坑」、洪水を流す地下河川の「トンネル」、そして地下空間で水の勢いを弱め、スムーズな流れを確保する「調圧水槽」、さらに地下から洪水を排水する「排水機場」などで構成されている。

調圧水槽


地下水路のトンネルから流れてきた水の勢いを弱め、江戸川へスムーズに流すための施設。この巨大な水槽の役割は二つ、水のくみ上げと排水を安定したポンプ運転で行うこと、ポンプを緊急停止させた時に発生する逆流を調節することです。地下22mの位置にあり、長さは177m、幅78m、高さは18m。
調圧水槽の天井部分がサッカーグラウンドとなっているので、地上からもその大きさをイメージすることができる。内部は荘厳な雰囲気と、柱と空間の巨大さから「地下神殿」とも表現され、首都圏外郭放水路を象徴する人気の施設。

階段116段を降ります💦

「柱」

調圧水槽の天井を支えている柱の大きさは、1本につき奥行き7m、幅2m、高さ18m、重さは約500トン。それが全部で59本も立っている光景は圧巻です。これほど巨大な柱をたくさん立てているのはなぜ?。地下水位の高い地中につくられた調圧水槽は、水槽のまわりにある地下水からかかる揚力により浮き上がる恐れがあるからで、柱によって天井を支えることで地下からの浮力を抑え、調圧水槽が浮き上がるのを防いでいるからとのこと。

まるで神殿のようです!!

「天井」

地下水の揚圧力により、調圧水槽が浮くのを押さえるためには重さが必要。そのため、天井に載せている土砂と梁のコンクリート、そして柱や底に打ち込まれたコンクリートの重さによって調圧水槽を支えている。

「首都圏外郭放水路HP」より転載

土砂の堆積は、見学コースのエリアはその都度人力で掃除。年に1度の大掃除のときは、天井の扉を開いてクレーンでブルドーザーを吊り降ろす。天井の扉は、下の写真の光が漏れている個所。

調圧水槽の隣には「第一立坑」がある。この後、「第一立坑」の上から見学。

第一立坑


第1立坑は、全部で5本ある立坑のうち、庄和排水機場に最も近い位置にある。この立坑は、ほかの4つの立坑と違い流入施設を持っていない。各立坑から送られてきた水を調圧水槽に送り込む役割を担っている。立坑とは、各流入施設から水を取り込むための施設のこと。工事中はトンネル工事の作業基地として、完成後は立坑本来の役割を果たすとともに、管理車両の搬入や換気設備の取り付けなど、放水路の維持管理にも役立てられている。


写真出典:「首都圏外郭放水路HP」


5つの立坑


第1立坑から第5立坑まで、全部で5本ある立坑は、首都圏外郭放水路でつながっている。各立坑の深さは約70m、内径約30m、スペースシャトルや自由の女神がすっぽり入る大きさ。第2立坑から第4立坑には、電動開閉装置のついた天板が取り付けられ、管理車両などの搬入を簡単に行うことができる。また、第3立坑には、エレベータで下まで降りると、潜水艦にあるような防水扉が二重に設置されています。この防水扉は立坑の外側にエレベータを含めた機械設備があるため、流入した水が流れ込まないようにするためのもの。
また、第3立坑と第5立坑は壁に沿って水が流れ落ちるドロップシャフトと呼ばれる方式を採用している。これによって流入口の変形を防ぎ、60mの高さから水が落下することによる底盤への衝撃を和らげている。

第三立坑(流入状況)

第五立坑(流入状況)


写真出典:「首都圏外郭放水路HP」


庄和排水機場


「庄和排水機場」には、ふたつの役割がある。ひとつは、地下水路のトンネルを通って流れてきた水を、調圧水槽から巨大ポンプ・排水樋管を通して江戸川に排水すること。もうひとつは、操作室で各流入施設の操作や集中管理を行い、水の流れを安全に制御すること。人間の体に例えるとポンプは血液を送る心臓、操作室は頭脳の役割を果たしている。排水機場はまさに首都圏外郭放水路の機能を集約している施設といえる。

泥水式シ-ルドマシン


「首都圏外郭放水路」を掘削するときに使った 泥水式シールドマシン。

江戸川へ出てみると。。。

ラック式開閉機


下の「排水樋管」の開閉を行うための装置。

排水樋管


「首都圏外郭放水路」から洪水を排水する施設のこと。ポンプによって汲み上げられた洪水が6つある樋管を通って、江戸川へと排水される。樋管ひとつの大きさは、横5.4m、縦4.2m。JR山手線の車両がらくらく収まる大きさ。また、排水樋管には水を江戸川に排水するだけでなく、江戸川からの逆流を防ぐという働きもある。